2017年4月19日水曜日

骨折8週目(50~53日目)


4月16日(日) イースターの奇跡!

ギプスを外してから左手首はつるんとしていたが、手の甲側の折りジワ(?)がうっすらと少し戻ってきた。
ちゃんとリハビリ頑張っている証拠だ。体のどこかにができて嬉しいなんて初めてだ。

写真に撮っておいた「メサイア」の楽譜、PCのスクリーン上で確認したら、ファーストヴァイオリンの最高音はEが2ヶ所だけ。
あとはDが頻繁に出てくるが、これは既に楽に届く音だ。
これなら弾ける!!がぜんやる気が出てしまい、楽譜をプリントアウトして練習してみた。
A4版に2ページ分なのでとても細かいが、一応読める。
しばらく練習したが、耐えられないほど左手が疲れることもなさそうだし、譜読みも大丈夫そう♪

一度は欠席の連絡をしてしまったライブラリアンに、コンサートに出てもいいかどうかメールを送ってみたところ、ぜひどうぞとの返信!

若い頃だったら、また機会もあるだろう・・・で諦めただろうけれど、この年になるともう後がないのでやっぱりぜひ弾きたい!

左手は肩まで3センチ。少しずつ距離が縮まってくる。ヴァイオリンを弾いたことで、手首がさらに柔らかくなってきた気がする。
ヴァイオリン演奏は、最高のリハビリなのかもしれない。
PCのタイピングも痛みを感じず(ギプス外し立ての頃は少し感じていた)、すっかり元通りだ。

今日は、キリストの奇跡的な復活を記念するイースター
私にも、小さな奇跡が起こった。


4月17日(月) 左手が肩に届く

良い天気なので、ウォーキングに出かける。
ネコヤナギがあちこちで穂をつけ、カエルの合唱が賑やか。
渓谷の近くで、ついに今年初めての雪割草をみつけた!毎年感動の瞬間だ。


「メサイア」コンサートに出ることに決めたので、ヴァイオリンの練習もかなり頑張った。
小指にはまだ少しだけ違和感を覚える。頭の中で考えているのとぴったり同じ位置に届かない。
ほんの数ミリで音程が全然違ってしまうのが、ヴァイオリンの大変な所だ。

ギプスを外した日は頬までしか届かなかった左手指先が、とうとう肩に届いた!
肩と言っても首の近くで、やっとぎりぎりという感じだが。
それにしても、昨日の距離3センチから一気に届いてしまってびっくり!



4月18日(火) 初リハーサル

今日は、鬼のように「メサイア」の練習に励む。
左手が疲れたり痛くなったりせず、使えば使うほど強くしなやかになってくるのが感じらる。

「タイスの瞑想曲」も、ギプスを外したばかりの時は全くサマにならなかったが、また弾けるようになった。
2音目でもうダメだった「G線上のアリア」は、小指だとまだG#とAの間の狭間をさまよっていて完全にAには到達しないが、薬指だと届くことがわかった。

ギプス固定中小指だけはバイオリン演奏には全く使えなかったので、まだ100%は伸びきっていないような・・・?
でも、長年の勘で小指を置いていた位置にほんのビミョーなさじ加減を加えるとちょうどよい音程になる感じだったのが、本来の置き方でやっと正しい音程が取れるようになった。
リハーサルの日にギリギリ間に合ってよかった!

ピアノも少しだけ弾く。モーツァルトの「ピアノソナタ第11番(第3楽章が有名な「トルコ行進曲」)」の第1楽章を全部弾いた。
ムソルグスキー「展覧会の絵」より、最初の「プロムナード」、途中は全部すっ飛ばして最後の「キエフの大門」も。
鐘の音の部分を弾く時、ギプスが取れているのに何だかまだ体全体が右に傾いて笑えた。癖になってしまったかな?

夕食後、食料品の買い物しに寄ってからいよいよ「メサイア」のリハーサルへ♪
ファーストヴァイオリンの仲間には昨日メールで知らせておいたけれど、セカンドの人たちはびっくりしていた。
1週間前にギプスが取れたばかりと言ったら、信じられない!って・・・
今夜は弦楽器だけなので気が楽。各曲のテンポとボウイングの確認が主だった。
久しぶりにみんなと一緒に弾けて、本当に楽しかった!
終了後に椅子と譜面台を片付けるのも、みんなが気をつかっていいよいいよと言ってくれる。
暗い夜道を運転したのも久しぶりだ。

リハビリの、第1のゴール達成の幸せな日だった。


4月19日(水) 休養日

3日間ヴァイオリンを弾き過ぎて、さすがに疲れ気味。
今日は楽器演奏はお休みにする。

うまい具合に木曜の全体リハーサルも休みで、来週の火曜日に行われる次のリハーサルまでたっぷり時間がある。
それまでには、手首もどんどん回復することだろう。
CDやYouTubeで、耳からも曲を覚えるとしよう。



2017年4月15日土曜日

骨折7週目(47~49日目)


4月13日(木) レパートリー増える

今日もピアノを楽しむ。
加羽沢美濃さんアレンジ、ボロディンの「だったん人の踊り」、ラヴェルの「亡き王女のパバーヌ」、ラフマニノフの「パガーニの主題による狂詩曲」より第18変奏曲など。
昨日は無理だった「沈める寺」の9度が、何とか届くようになった!
「平均律」の第5番フーガは、ギプスをしていた時のほうがなめらかに弾けていたような・・・?

ヴァイオリンも、スズキ第6巻の「ラ・フォリア」やフィオッコの「アレグロ」、ラモーの「ガボット」、ヘンデルのソナタ第4番などを弾く。
小指がまだ伸びきらない感じで違和感を覚えるが、段々慣れてきて少しはマシな音で弾けるようになった。

各開放弦のオクターブ上の音のフラジオレットは、どの弦もOKになる。
G線は、ベートーヴェンの「運命」の出だしだったら何とかギリギリ指が届くようになった。
つまり、高いG音が今は限界。
まだ左手が肩に届かないほどなのだから、仕方がない。

左手は本当によく使えるようになり、怪我をしていたことを忘れてしまうほど。
普通に家事をする分には、重いフライパンなどが持てない以外は、これで十分と言ってもいい位だ。
でもヴァイオリンがちゃんと弾けるようになるまでには、まだまだ道のりは遠そうだ。


4月14日(金) メープルシロップ瓶詰め作業

ギプスが取れてからまだ3日なのに、装着していたのは何だか遠い昔のことのようにも思える。

夫がメープルシロップを瓶詰めするのを、キャビンで手伝った。
全部で約4.5ガロン!親戚や友人たちにも配る予定。


左手の指先、左の肩に触れるようになるまでにはあと4cm位。毎日計ってみよう。
これが届くようになれば、ヴァイオリンのハイポジションももっと楽になるだろう。

今朝はできなかったが、ブラを夜外す時にもう一度後ろでつけてみたら、初めて成功!


4月15日(土) 諦めるのはまだ早い?

朝は手がこわばって無理かなと思ったが、今朝もブラを後ろでつけることができた。
きっともうずっと大丈夫だろう。

一度諦めた「メサイア」、よく考えたらファーストヴァイオリンでもそれほど無理なハイポジションは出てこなさそうだ。
楽譜は返してしまったが、後で1人でCDと合わせてみようかと写真に撮ってあった。
ラッキー!ダメモトで、一応練習してみよう♪

今日は、1日かけて原稿書きのお仕事。
ピアノではなくPCのキーボードをたたくのも、結構良いリハビリになっている気がする。

ギプスを外してもらった日、左手首の周りだけ黒々と濃く生えていた毛に驚いてシェーバーで剃ってしまったが、あらあら、また元気に伸びてきている!
除草剤でも撒きたい気分だ。でも、ブツブツしていた毛穴は、それほど目立たなくなった。



2017年4月12日水曜日

骨折7週目(43~46日目)


4月9日(日) ギプスの臭い?

2時間近くのウォーキングに出かけた。
この前歩いた時はまだ凍っている場所もあって、こわごわだったな。
雪解け水がいっぱいだった所も水が引いてきて歩くのはとても楽になり、気温も最高。
カエルの合唱が、あちこちから聞こえてくる。

友人が夕食に訪れたので、ケーキも焼く。
左手は本当にほぼ普通に使えるようになり、注意しなくてはならないのはギプスを汚さない、濡らさないということだけ。

骨折経験者のブログなどを読むと、ギプスがとんでもない臭い(足の臭いを通り越して納豆の臭いとか・・・!)になったり、中が痒くてたまらなくなったりすることが多いようだ。

怪我したばかりの時にそういう記事を目にしたので、日が経つにつれ人に会えなくなってしまうかもと恐れていた。
何より、どうしてもそこから逃げられない自分が一番辛そうで、精神崩壊の危機を迎えるのでは・・・とひそかに心配だった。

ところが、一体どんな臭いが漂ってくるのかと時々鼻を近づけてクンクンとチェックしてきたものの、別に臭くはならなかった。
痒みを感じたこともない。汗をかく季節でなくてラッキーだったということだ。
寒い時期でもうっかり濡らしてしまうと、ギプス内で細菌が繁殖して臭くなったり痒くなったりすることもあるのかもしれない。


4月10日(月) ギプス最後の日

いよいよギプス最後の日になるだろうか。
そう思うと、ずっと守ってくれたギプスが何だか愛おしくなる。

今日はせっせとギプスの両端付近だけ、届く範囲で肌をきれいにした。
以前にも書いたが、綿棒や使わなくなった菜箸&化粧用コットンを利用すれば、結構奥のほうまで届く。
手全体は、ほとんどこれで届いた。
届かない手首周りは、きっとだらけなのだろうな・・・外すと一体どんな状態になっているのか、想像できない。

ギプスのままピアノとヴァイオリンを弾いている所を、また録画した。
完璧な演奏には全くほど遠いけれど、骨折した記念に♪

オーケストラのファーストヴァイオリン全員と、セカンドの中でも親しい人たち、それに指揮者までが、温かいメッセージを寄せ書きしてくれ、団員の1人が郵送してくれた。
大感激!早く良くなって、みんなとまた演奏したい。




4月11日(火) バイバイ、ギプス。こんにちは、スプリント!

いよいよギプスの取れる日!
3週間がっちりと守ってくれたギプスにお礼を言う。お世話になりました・・・

入り口の繊維部分はどんなに気を付けても薄汚れてきてしまったが、本体部分はしみひとつないきれいさをキープできた。
汁が飛び散りそうな食事の時はギプスの上にタオルをかぶせたりして、それなりに気をつかってきたからだ。

今日は、女性アシスタントがギプスを外してくれる。
ギプスカッターももう3度目なので、恐ろし気な音にも慣れっこだ。
とうとう最後まで臭くはならなかったが、中から何が出てくるのかドキドキ・・・
手は、3週間前にギプス交換した時のホルマリン漬けみたいな印象ではなく、生きている普通の手に戻っていてほっとする。

濡らしたコットンでマメに拭いていたので、手全体も肘近くもきれいなものだった。
でも、届かなかった手首の周りには、やはり白っぽく角質(垢)がこびりついていた。
白いので、そんなに不潔な印象ではないけれど。

それより、手首周辺だけ何だか毛深くなっていてびっくり!
右手の同じ場所(別に剃ったりしていないけれど)は、全然目立たないぞ。

光が当たらなくてもやしになっていそうなものだが、闇の中で元気に黒々と育っていた。
それに毛穴が目立って、やたらとポツポツしている。毛穴の数が増えた気もする。
なんじゃこれは!?

明らかに細くなっていて驚いたこの前と違い、腕そのものはそれほどひ弱な感じには見えなくなっていた。ダンベル効果か!?

すぐに洗わせてくれたので、持って行ったボディスクラブで何度もごしごし。
1人だったため、心置きなく洗うことができた。気持ちいい♪
モイスチャークリームも、たっぷり塗っておいた。
こんなことなら、シェーバーも持ってくるんだった・・・

それからレントゲンを撮る。手の甲を上にして1枚、斜めに置いて1枚、最後は空手チョップのように置いてねと言われた。
「空手チョップ」という言葉、知っているんだ・・・!

ドクターには、とても良い経過だと言われる。
レントゲン写真を見せてくれ、骨折箇所がちゃんとくっついていることを確認。

でも、これで終わりではなかった。
こういう骨折をした人には普通8週間ギプスをしてもらうが、関節もそれだけよけいに固まってしまうので、妥協策として取り外しのきくスプリント splint をあと2週間つけるようにとの指示。

骨はついているが、まだ完全にではないので注意が必要だそう。
本格的なリハビリは、2週間後に始めるそうだ。
それまでは自分で、痛みを感じない程度に適当に動かしてくださいって。。。
結構アバウトだ。

この前のレントゲン所見に記載されていた、有鈎骨がなんちゃらかんちゃらのことを突っ込んだら、「あれは僕が書いたわけではないから」と逃げられた。
「見方によって、そんな風に見えることもあるかもしれない」と、こちらもアバウト。
いいのか・・・?

ヴァイオリンはお許しが出たが、ダンベルは?と聞いたら、"Slow down!" と笑われた。
すでに使っていたことは、内緒にしておこう。

ランチタイムに突入してしまったらしく、1時まで待つように言われロビーに戻る。
セラピー側の入り口で待っていたら、偶然オーケストラのオーボエ奏者兼ライブラリアンが入ってきた。
怪我のことについてなど、あれこれおしゃべりする。
前にメールでも教えてくれたけど、ここのスタッフは皆さん素晴らしいそう。

しばらく待つと、作業療法士 occupational therapist さんが呼びにきてくれる。
人懐っこい笑顔でめちゃめちゃ感じがいい人で、一目惚れした。
セラピーでは体を触られるわけだから、苦手なタイプだったら蹴とばしたくなるかもしれない。

彼が1枚のプラスチックシートを熱湯で加工して、私の腕と手のサイズに合ったスプリントを作ってくれた。
マジックテープ Velcro で取り外しができる。
これも好きな色を選ぶように言われた。無難なグレーを選ぶ。

割と新しいテクニックらしいが、これを扱うようになってから、この年になって図工 art&craft の技が必要になったと笑っていた。
熱を利用して形作るタイプなので、thermoplastic splint (熱可塑性スプリント)と呼ばれるそうだ。


迷路のような造りの病棟で迷子になるといけないので、またロビーまでお見送りしてくれる。優しい
セラピーの予約も一緒にしてくれ、受付の人が私の名前をどう発音するのか聞いた時、"She's not Norwegian. (ノルウェー人ではないからね。)" とふざけていた。
手首だけでなく心も癒してくれそうなタイプで、2週間後にまた会うのが楽しみだ。

その新しいスプリントをつけたまま買い物。
運転の時はちょっと食い込む感じで痛かった。家に着いてからさっさと外してしまう。
これでは、何だかロボットになった気分だ。


久しぶりに身軽な私の姿を見て、夫も嬉しそうだった。
彼には本当にお世話になった。
色々な面でしっかりサポートしてくれ、どんなに助かったことか。
骨折してすぐに誓った「イライラしても夫に八つ当たりしない」をちゃんと守れたのは、私が好きなようにやらせてくれた彼のおかげでもある。

両手をしっかり洗ったり、両手で食器洗いしたり、両手で台布巾や雑巾を思い切り絞ったり、後ろで髪を束ねたり、両手にお湯を受けて顔を洗ったり、両手でクリームなどを顔に塗ったり、普通にシャワーを浴びたり、一番奥の歯まで楽にデンタルフロスしたり、久しぶりにできることを大いに楽しんでいる。

お帰りなさい、私の左手!
左手の分までとても頑張ってくれた右手も、ありがとう!

ネイルアートが似合うようなスラリと細長い美しい指ではないが、自分の体の一部を、これほど愛おしいと思ったことはない。
今までそんなことをしたことはない気がするけれど、思わず頬ずりしてしまった。

満月がきれいだ。
宇宙の営みに比べたら、ギプスを装着していた6週間なんて、まばたきの一瞬にも満たないな。
それでも、怪我のおかげで私の人生観はちょっぴり変化した。


4月12日(水) 庭仕事開始

朝、手がこわばることもなく快調。
でも、ブラを普通に後ろでつけるのはまだ無理だったので、相変わらず骨折当日に考案した方法で。
外すほうがずっと簡単で、ギプス装着中からこれはできていた。
久しぶりに普通の服が着られて嬉しい。

午前中、ピアノをガンガン弾いた。
バッハの「平均律」の最初の曲から、ちょっと指慣らし。やはりギプスをしていた時よりずっとなめらかに弾ける。

ベートーヴェンの「月光ソナタ」の第3楽章、「悲愴」の第1楽章、ショパンの「別れの曲」、「スケルツォ第2番」「幻想即興曲」、リストの「ラ・カンパネラ」、ドビュッシーの「月の光」、「沈める寺」、ラヴェルの「ピアノ協奏曲ト短調」第2楽章・・・

今日は全部通してではなく、ルンルン気分でところどころつまみ食い♪
オクターブがちゃんと弾けて本当にほっとするが、「沈める寺」の中間部の16分音符で動くところはきつかった。9度もまだ指が届かない。

ヴァイオリンは、今まで小指が全然使えなかったため、まだまだぎこちない。
手首がコチコチで、駒に近いほうまで指が届くようになるまでには、相当時間がかかりそうだ。
でもサードポジションは問題なさそうで、スズキの第4巻のヴィヴァルディなどは大丈夫。

第7巻のバッハのコンチェルトの第2楽章なども弾いてみた。E線の高いGが無理だ。
第9巻のモーツァルトも、高いAが出てくるところで撃沈。
「タイスの瞑想曲」!?これじゃとても瞑想なんかしていられないよ(汗;)
「G線上のアリア」なんて、2番目の音で既に退散で笑ってしまう。
まああせらず少しずつやってみよう。想像していたよりは弾けたので、今日のところは満足だ。

午後、デイリリーの古い葉をやっと片付ける。
久しぶりの庭仕事は、作業用手袋を両手にはめる儀式も神聖な表情で・・・
もうデイリリーの芽が出てきてしまっているので、踏まないように神経を使う。

左手で枯れ葉を持って右手で切る動作など、しばらくできなかったごく当たり前のことに新鮮な感動を覚える。
ついでに階段周りの落ち葉かき(雪が解けて、去年の秋に落ちていた葉が顔を見せた)もして、ずい分すっきりした。
ほうきはギプスの時から使っていたので、くま手 rake もためらいなく使い、別に痛みも感じなかった。

夕食の支度をする時も、肉や野菜を左手でがしっと押さえて切ることができるのが、何て楽ちんなのだろう。
結局今日は、セラピストさんが一生懸命作ってくれたスプリントをほとんど使わず仕舞いのうちに終わる。
反省・・・

2017年4月8日土曜日

骨折6週目 (40~42日目)


4月6日(木) オクターブが届くようになる

どんどん弾けるようになってきたのが嬉しくて、今日もピアノをガンガン弾く。
久しぶりにパット・メセニー&ライル・メイズの September 15th も弾いてみた。大・大・大好きな曲だ♪
下の動画とはアレンジが違うが、以前ネットで楽譜をゲットした。


バッハの「パルティータ第1番」のプレリュードは、速いトリルも弾けるようになり、何と最後の左手のオクターブ(4音続く)が届いた!
怪我をしてから初めてのこと。オクターブはしばらく無理だろうと思っていたので、意外な驚きだ。
ショパンの「幻想即興曲」も、ゆっくりなら何とか大丈夫。
手首が固定されているので、腕全体をうまく回す必要があるが、ポツポツ途切れがちだったのが滑らかにつながるようになってきた。

午後はキッチンにおこもり。またチョコレートチップクッキーを焼いた。
親戚夫婦がブラウニーを持ってきてくれたので、物々交換となる。

ヴァイオリンは、スズキの第4巻のザイツを弾いてみる。重音がまだ大変・・・
そしていよいよヴィヴァルディの協奏曲イ短調に挑戦!!
アーモールと言えば、ヴァイオリンを習う子(とその親)にとって憧れの曲だ。
息子に4年ぐらい遅れて37歳で習い始めた私も、ここまで進んだ時は誇らしい気持ちだった。
高いD音まではどう頑張っても届かないのが残念だが、他は結構いい感じで弾ける。
ビブラートも自然になってきた。

左手全体が柔軟性を取り戻してきたようで、ご飯茶碗もしっかり持てるようになる。


筋力をつけるため、この前買ってきたダンベルを始める。
左は二の腕までもがしまりがなくなって、ポヨポヨしている感じ。
右腕の力こぶがある部分と比較すると、違いが歴然としている。これはまずい・・・

右手なら楽々持てる2ポンド(約900グラム)のダンベルが、左手には結構きつい。
少しずつゆっくりやるとしよう。


4月7日(金) 新たな問題

還暦プラス1ヶ月となった。
誕生日の頃と比べると、何て色々できるようになったのだろう。

ピアノを1時間位弾いた。封印していた曲も、久しぶりに色々弾いてみる。
ショパンのワルツ第7番、子犬のワルツ、雨だれ、スケルツオ第2番、ベートーヴェン「悲愴」の第1楽章、トルコ行進曲・・・
左手は「ポロロ~ン」というアルペジオが続く、バッハの平均律の第8番をしつこく練習してきたため、弾けるレパートリーが増えた。
左手は、指先だけでなく手首に近いほうから柔らかくしなやかに力強くなりつつある感じがする。
手首は固定されているので、錯覚なのだろうが・・・

ギプスで制限されてはいても、左手がかなり自由に使えるようになってきたので、手を洗った時手を振ってしずくを払う動作なども無意識にやってしまった。
これは怪我をしてから初めてだ。

「お星さまキラキラ」の手の動作も、できるようになった。
これは、毎晩踊っている Zumba のひとつに出てきて、思わず真似してしまったわけ。
クロールや平泳ぎの腕の形も、リハビリに良さそうな気がする。片っ端から何でもやってみよう!

食器洗いの動作も速くなった。そうだった、こうやって洗っていたんだっけ・・・と思い出し、何だか不思議な気がする。
朝のうちは少し残っていた家の前の湖の氷が、午後には全て解け、いよいよ春だ!

一生懸命握力増進に励んでいるため、新たな問題が・・・
ギプスの周囲を包むふんわりした繊維の部分がすっかりへたれ、固いギプスが直接肌に当たるので痛い。


プチプチ bubble wrap を貼り付けてみようとしたけれど、ダメだった。




4月8日(土) 少しずつ前進

はたきをかけるのも、掃除機をかけるのも、左手で同時に物をどかしながらできるようになったので、何と早いのだろう!
骨折する前の家事の手順を、改めて思い出す。そして、手首がまたくっついたというのを実感!

ヴァイオリンを弾いたら、今までE線はC♯までしか届かなかったのが、半音増えてDまで届くようになる。
ドッペルコンチェルトも弾いてみた。早くバリバリ弾きたいな。

ギプスが壊れんばかりに、パーの形で思い切り指を広げるのが気持ちいい。
手首を腰に当てたり、お祈りの形で両手のひらを前で合わせたりすると、手首の奥のほうがほぐれる気がする。


ヨガの時、背の後ろで両指をしっかり組めるようにもなった。
左腕を少しかばいながらやっていた Zumba も、ほとんど全部インストラクターの動きに合わせて踊れるようになってきて、ますます楽しい。


2017年4月5日水曜日

骨折6週目 (36~39日目)


4月2日(日) ハイウェイを運転 / コンサート

今の時期、夫は毎年メープルシロップ作りに忙しい。
メープルの木から集めた大量の樹液を煮詰める作業が、昨日から始まった。
メープル林の中で火の番をしながら、友人たちと長時間飲んだりおしゃべりしたりするのが一番楽しいらしい。


昨日は夫が飲みすぎてしまい、友人が車で家まで送ってくれた。
夫の車を置いてきてしまったので、今日はもう1台の車でそれを一緒に取りに行く。

そんなわけで、帰りは骨折後初めて1人でハイウェイを運転する羽目になる。
しかもハイウェイに出るまでは曲がりくねった狭い道なので、ちょっと不安だった。
でも左手がしっかりしてきてちゃんとハンドルを握れるようになったので、別にどうということはなかった。
親指を使わずに、残りの4本でハンドルをぎゅっとはさんだほうが、安定して力が入るようだ。
ハイウェイに出てからは、まっすぐな所は片手運転でも大丈夫だった。

午後、自分が出演しないオーケストラコンサートを観客として聴きに行く。
楽器を持たずに家を出るのは、変な感じ。
正装して演奏する、ステージ上の仲間の姿がまぶしい。
ヴァイオリンの相棒が、またお見舞いカードを手渡してくれた。本当に優しい人だ。
曲を作り上げていく喜びを、みんなと一緒に味わいたかったな。

気分転換に、一緒に行った夫と義妹夫婦&友人夫婦と共に、コンサート終了後に食事。
楽しいおしゃべりで気が紛れる。賞を取ったことのある地ビールが美味い♪


4月3日(月) 買い出しの成果

昨日ハイウェイを運転して自信がついたので、怪我をしてから初めて25分位離れた町へ1人で買い出しに出かけた。
右折の時のハンドルさばき、注意しないと少し痛みを感じた他は、何も問題なかった。
日本だったら、シフトレバーが運転席の左側にあるので苦労したかも。
車のドアを開ける時は右手を使ったが、一度無意識に左手でしてしまったこともあった。意外と大丈夫だった。

カートに品物を入れたり、レジでそれを出したりという操作も、普段と同じようにできた。
怪我したばかりの頃、夫と一緒に買い物に行った時は、大きくて重いカートの方向が片手だとコントロールできなくてあせったっけ。

今では結構重量のあるものも、左手だけで持てるようになってきている。
レジ袋を左腕に通して頑丈なギプスの部分にかけてしまい、結構使えるじゃん!とほくそ笑む。

リハビリに良さそうなものも、色々買い込んできた。

このセラピーボールが一番欲しかったの♪
ぷにゅぷにゅの感触で、握っていると本当に気持ちいい。
全部硬さが違う。真ん中のピンクの卵型のが、特にお気に入り。


2ポンド(約900グラム)のダンベル
左は二の腕まで筋肉が落ちてぽよよ~んとしているので、少し鍛えなくちゃ!


これはどちらも犬用のおもちゃ。でも、ぎゅっと握るのによさそうじゃない?
左のはプラスチック製だが、中は空洞でほどよい弾力もある。
リハビリが終わったら、娘のワンコにプレゼントしよう。


これを使うのはまだずっと先かな。調整できるハンドグリップ。右手で楽に握れても、左手では全く動かない・・・


手首をサポートするバンドも買っておいた。ギプスをはずした後、何もつけないと頼りないかもしれないので。


しばらく運転できなくて「翼をもがれた小鳥ちゃん」の心境だったが、また飛べるようになった!
都会だったら運転しなくても色々な所に1人で行けるだろうが、アメリカのど田舎ではどうしようもない。

でももし事故った場合、ギプス固定中なのに運転していたことで罰金が高くなったりするのだろうか。
夫も、その辺については知らないそう。

日本だったら、骨折治療中に満員の通勤電車などに乗るのは大変なことだろう。
うっかり人にぶつかった場合、「痛い思いをさせられる」、「自分が相手に痛い思いをさせる」、両方の可能性がある。
ここではそういう心配をしなくてすむ点は、とてもありがたい。

食器を拭く時、フォーク類をまとめて何本か左手に握って拭く動作ができるようになった。
もっと早くからできていたのかもしれないが、1本ずつゆっくり拭くことに慣れてしまって、試そうとも思わなかった。
これでぐ~んとスピードアップ!本当に楽になる。

ただし、ギプスから少し出ている繊維の部分が、どんなに気をつけてもやはり薄汚れてきているので、料理する時や食器を拭く時は、そこにくっつくタイプのラップをかぶせて清潔を保っている。
 ⇒ 骨折5週目 (33日目~35日目) の記事を参考のこと。


4月4日(火) 有鈎骨ってどこよ?

約2週間遅れで病院から通知された、3月21日撮影のレントゲン写真についての所見(ネットの自分のアカウントにアクセスすると読める)には、おいおい大丈夫なのか!?と不安を感じさせることが色々書いてある。
骨幹に達する縦方向の割れ目も見られるとか、有鉤骨(ゆうこうこつ)も折れている可能性ははずせないとか、なんちゃらかんちゃら。

手の関節基部を形成する8つの小さな骨「手根骨」、日本語でも英語でも全く名称を知らなかった。

「フィットネスの勧め」というサイトより

医療裁判になった時のために、どんな小さな可能性も告知しておく習慣なのだろうからあまり気にするなと夫に言われ、少しほっとする。
とりあえず、ギプス固定中でもこんなに指が動くし痛みも感じないのだから、治ってきているのだと信じることにしよう。

中皿は楽々と、大皿はちょっときついけれど一応左手だけで持てるようになった。
フライパンも小さめのは何とか持てるが、これ以上大きいのは無理。
右手と同じように楽に持てるようになる日が、また来るのだろうか。


ピアノは、1時間続けて弾いても疲れなくなった。
シューベルトのアンプロンプチュの第2番と第4番も、久しぶりに弾いてみる。
右手が重労働の割に左手は働きが少ないので、結構楽だ。

ヴァイオリンも弾いたら、今日は初めからG線まで届いた!
小指が使えないので指使いを工夫する必要はあるけれど、スズキの第3巻の「ユーモレスク」やバッハの「ジーグ」なども何とか弾けた。
ビブラートも何となくつけられるようになり、だいぶサマになってきた。

左手の指はかなり自由に動いていると思うが、グー、パーは問題なくできても、チョキの形で指を立てようとすると、少しひきつる感じで痛む。


4月5日(水) 夫と「おててつないで」

左指の動きが正常になるにつれ、爪の伸び具合も戻り、久しぶりに右指と足並みが揃う。
爪切りを使うのも、本当に楽になった。

良い天気が続いているので、夫と一緒にウォーキング
雪解け水が流れるせせらぎの音を聞くために、倒木があちこちにころがる急な傾斜面を降りて行った。
夫がさりげなく手を差し伸べてくれる。手をつないで歩いたのは、いつ以来か・・・?

今日もヴァイオリンを弾く。昨日よりビブラートが自然にかけられるようになった。
ヘンデルのソナタ第4番を弾いてみたが、ギプスが楽器に当たってしまうので、E線はどう頑張ってもC♯までしか届かない。
それでも、すごい進歩!
怪我をしたばかりの頃は、あんなに細いヴァイオリンのネックをしっかりと握る力が戻ってくるのだろうかと、とても不安だったもの。

指板を押さえることに関しては、今は特に問題なさそうだ。
でもギプスを外すとどうなるのかは、まだわからない。
それに、ハイポジションを押さえるための手首の柔らかさが戻るまでには、一体どの位かかるのだろう。
重音もまだ怪しい。ギプスから出ている部分しか自由にならないので、本来より寝かせ気味の指で弾くしかないからだろう。

ピアノは自分でもびっくりするほど、今日は楽に弾けた。ヴァイオリンとの相乗効果で、急にどこかにスイッチが入ってしまったみたい!
「月光ソナタ」の第3楽章など、オクターブは届かなくても結構早く弾けるようになる。

左手が、本当に生きている手らしくなってきて嬉しい。
幸い手の周りはギプスの巻き方が割とゆるめで、前回よりずっと風通しが良いせいもあるのだろう。
濡らしたコットンをつっこんで、せっせと垢取りもしている。
でも、全く見えない腕の部分は、どんなにおぞましいことになっているのやら・・・