2017年3月22日水曜日

骨折4週目 (22~25日目)


3月19日(日) 食器洗い

掃除、洗濯、食事の支度・・・何でも倍ぐらい時間がかかるけれど、家事を一応自力でできることに幸せを感じる。
洗濯は、日本でやっていたように外に干すわけではなく、洗濯機と並んでいる乾燥機に移すだけだから楽勝だが。
服などをたたむのも、初めは全部右手だけでやっていたが、左手も使えるようになってだいぶ楽。

この地域の水は、鉄などミネラル分の多い極端な硬水なので、軟水に変える装置を使っている。
それでも食器に水の跡が残りやすいので、手洗い後にすぐに拭いてしまったほうが仕上がりがきれいという理由もあり、2年半前に故障した食洗器はそのままになっている。

夫が家にいる時は彼が皿洗いをしてくれ、私は拭く係。
拭く時は大きめの布巾をカウンターに広げ、食器を乗せて周りから包み込むようにすると何とかできる。


3月20日(月) ギプスでピアノ演奏の動画

ギプスでピアノを弾く様子を、動画に撮ってみた。(これは非公開・・・)
録画していると思うとやはりいつもより緊張し、なかなかうまくできなかった。

将来、笑って観ることができるといいな。
本当に、指の動きは劇的に回復してきていると思うのだけれど。


3月21日(火) ギプス交換

2週間ぶりに診察を受ける。
まずはアシスタントがギプスを外してくれた。ギプスカッターも2度目なので、恐怖には感じなかった。
途中で Are you OK? と聞いてくれたけれど、大丈夫ですよ~

外してから、このギプスをキープしたいですか?と聞かれる。
何のために?と尋ねたら、記念に取っておきたがる人がいるそうだ。
いや~、これはいらないだろう・・・お断りしたら、脇のゴミ箱にあっさりポイと捨てられた。
守ってくれてありがとうと心の中でお礼を言いつつ、ギプスにお別れを告げる。

今日まで2週間お世話になったギプス(白鳥の頭みたい?)

ギプスは別に臭くなったり汚れたりはしなかったけれど、はずすと手の甲の指の付け根辺りには、乾いた感じのらしきものがやはり数ヶ所こびりついていた。
腕はさほど汚れていないように見えたが、何だか毛深くなったようだったのは、気のせい?見なかったことにしよう。

ギプスを外した部分だけ生気がなくて、特に手はホルマリン漬けの標本か何かみたい。
何となく、ぬめ~っとした印象だ。
こんな状態の自分の手を見るのは生まれて初めてなので、かなりショック!

親指はやや内側に向いた状態できつめに固定されていたため、生命線の筋がやたらと深く見えた。
ふっくらした右手に比べると中身が減り、肌に直接触れていた繊維の跡がくっきりついて皺だらけのように見える。

腕はひと回り細くなってしまい、まるでETみたい!筋肉って使わないとすぐ痩せるのね。

う~ん、本当に力が入らない。

レントゲン
を撮ってもらった後に、手と腕を洗うことを許される。
手首骨折経験のある友人に、ボディスクラブを持って行くといいとアドバイスされていたので、タオルハンドローションと共に持参。

洗う時にも、手の重さを支えきれないような情けない状態だ。
左腕全体を持ち上げようとすると、ブルブル震えてしまう。
垢がこびりついているように見えた手の甲を中心に洗ったが、皮膚も弱っていそうなのであまりごしごしこするのも怖く、残りはそのまま再び封印することに。。。

親指と小指を思い切り広げてみる。ピアノのオクターブ位は広がりそうな感じだが、手首に力が入らないので、ギプスなしのこの状態での演奏はとても無理そう。
何とか弾けていたのは、ギプスにしっかり支えられていたおかげだったのだと気付く。

ヴァイオリンなんて、楽器を持つこと自体が全く不可能そうだ。
ピアノよりさらに遠い遠いところにある感じ。

しばらく待つとドクターがやって来て、今日のレントゲン撮影の結果を報告してくれる。
すこぶる順調に治ってきていて手術は必要ない、しっかり完治するだろうとのこと。
ああよかった!

ただし、あと3週間はギプスで固定しなくてはいけないそう。
長期間ギプスをつけていると手首の関節拘縮して動かなくなってしまうので、その後しばらくセラピーを受けてほぐすことが必要だって。

この前友人に聞いたsoft cast のことをたずねたら、それだとしっかり固定されないので今の段階ではおすすめできないときっぱり言われてしまった。
3週間経った後に、取り外しのできるものをつけるそうだ。
ええっ、まだそんなに長い道のりなの?時間を早送りするボタンが欲しくなる。
4月末の「メサイア」のコンサートの夢が、はかなく消えてしまった・・・

この前と同じ感じのいいお兄さんが、またギプスを巻いてくれる。
何色のギプスが一番人気があるの?と聞いたら、ダークブルーだそうだ。
汚れが目立たないからだって。なるほどね。

でも、今回もにしてもらった。
こういうのを見ると、ピンクも良かったかもと思うけど(笑)


もし足が折れたら、こうしようかな。


彼は午前中にも、私と同じように手首を骨折した人にギプスを巻いたそう。
その人もピアノを弾くのだって。ピアノはとても良いリハビリになるし、絶対によくなろうというモチベーションにもなるとのこと。

そういうのを聞くと希望がわく。私はヴァイオリンも弾くのだけれど、この怪我のせいでコンサートに出られなくなっちゃたと、お兄さんに向かってつい嘆いてしまった。

前回は親指の周りがきつめで靴擦れのように痛かった(実際には擦れたりはしていなかったけど)とひとこと言ったせいか、この前に比べると親指はかなりゆったりと巻いてくれたようだ。

今回も夫が送り迎えしてくれたが、帰りはハイウェイから普通の道に入った所から久しぶりに運転してみた!
左手がほとんど使えないと、他の部分まで調子が狂ってちょっと怖い。
舗装されていない我が家の長いドライブウェイは、雪解けでぐちゃぐちゃドロドロ。
スピンしそうで、スリル満点だった。

実は早めにギプスが取れることを期待していたが、外してもらった途端に、まだまだ無理と自覚。
でもあと3週間かそれ以上・・・というのはへこむなあ。
5月のゴールデンウイーク後に日本に一時帰国の予定なのだけど、大丈夫なのだろうか。。。

もっと思い切りシャワーを浴びられるよう、防水のギプスカバー cast coverアマゾンでオーダーした。
レジ袋なんかで間に合わせようとせず、骨折直後にさっさとオーダーするべきだった。



3月22日(水) 怪我のおかげで

私の怪我のおかげで、「自分もこんな風になったら大変!」と、夫は今までより気をつけて歩くようになったそうだ。
骨折のニュースを聞いた私の周りの人たちもきっとそうだろうから、その点で間接的に人助けしたことになっているのかも?

今までは若い時と同じく、しゃかしゃかと速めのテンポで行動していたけれど、私自身もこの怪我で年を自覚した。
(「ババアになったわね」と、はっきり言われたこともある。冗談でもこれはきついよ~)
以前より周りの様子に気を配るようになったので、もっとひどい大怪我をするかもしれなかった運命を変えたのかも・・・と前向きに考えることにしよう。

今後、もし周りの誰かが手首を骨折してしまったら、先輩として(笑)親身になって色々アドバイスできることだろう。
物事、何でも良い方に考えなくては!
私は元々、かなり楽天的というかおめでたい人間なのだ。

新しいギプスは今までより親指の可動範囲が広がったので、ピアノを弾いてみたら、全く使えなかった親指が使えるようになって嬉しい。
もちろんオクターブは不可能だけれど、オリジナルの指使いにもっと近く弾けるようになってきた。
でもまだ頑張りすぎないほうがよいのだろうな、きっと。

リハビリのことをネットで調べたら、結構大変そうだ。甘く考えていた・・・
ヴァイオリンをまともに弾けるようになるまでには、何ヶ月もかかりそう。

ファーストヴァイオリン仲間にも、経過報告をしておいた。
4月末の「メサイア」コンサートはずっと楽しみにしていたのに、みんなと一緒に弾けないのは本当に残念。