2017年4月27日木曜日

はじめに

私が住んでいるのは、アメリカ中西部に位置するミネソタ州です。
カナダとの国境に近い所ですので、冬が大変長く寒さが厳しいことで知られています。
そんな北国での暮らしにも次第に慣れてきた6年目の冬、突然の災難が・・・!
まさか自分が手首骨折を体験することになるとは、夢にも思いませんでした。

骨折初心者の私は、何もかもわからないことばかり。
情報を得るため、他の手首骨折体験者のブログや医療関係のサイトをチェックしまくりました。
知らなかった事実に驚いたり、皆さんが工夫していらっしゃることを真似してみたり。

骨折後はある程度の期間ギプスで固定すれば、外してすぐに元の生活に戻れるものと勘違いしていましたが、その後のリハビリ期間が重要であることも初めて知りました。

私のブログも、手首を骨折してしまったどなたかのお目に留まって、何かのお役に立つ部分を見つけていただければ幸いです。

ピアノヴァイオリンなど楽器を演奏する方の手首骨折体験記が、ネットではあまりみつかりませんでしたので、そこにも焦点を当てて治癒経過を記録します。

ピアノ演奏に関しては茶色ヴァイオリン演奏に関してはグリーンと色分けして書きました。その他一般的なことはです。
ご興味のある部分だけお読みください。

怪我の箇所、重症度、年齢、手術を受けたかどうかなどで、治癒経過も全快までの期間も人それぞれです。
私の体験したことはあくまでもひとつの例で、全員に当てはまるわけではありません。
このブログに書いたことを真似るのは、くれぐれも自己責任でお願いいたします。

ギプス固定中やリハビリ中にしてもよいこと、積極的にするべきこと、避けるべきことなどは、ドクターによって見解が違うはずですから、担当医とよくご相談の上、どうぞ明るく楽しい骨折生活をお過ごしくださいね♪



2017年4月26日水曜日

骨折2ヶ月後

手首骨折からちょうど2ヶ月が経った。
とても長かったような、あっという間だったような・・・
自分がギプスをしていた日々が、夢の中の出来事のように思えてしまう。

この前のセラピーで作業療法士に渡されたのは、下の絵。
何ともアナログでゆる~い感じだ。


自主リハビリ期間にはやっていなかった「曲げた状態を30秒から1分間保つ」を、この絵の通りに忠実に守っている。
この1連の動作を1回に3セットで、1日4~5回のペースだ。

日本語で「掌屈」と呼ばれる「手のひら側に曲げる動作」が右手と同じようにできるようになるまでには、まだ時間がかかりそう。
「背屈」「橈屈」「尺屈」のほうが、もっと進歩がみられる。
それでも力もどんどんついてきて、日常生活で不自由を感じることはほとんどなくなった。

ピアノに関しては、ショパン「ノクターン第13番ハ短調 Op. 48-1」「骨折卒業課題曲」にしようと、ギプス固定中から決めていた。


中間部から、コラール部分の分厚い和音とアルペジオ、それに続くオクターブの速い連打などが盛りだくさん。
ギプスを外したばかりの頃は無理だったが、やっと以前と同じように弾けるようになった。
と言っても、かなり難曲なので元々完璧に弾けるわけではない。
あくまでも「骨折前と同程度には弾ける」・・・という意味だ。

実際の所、ギプス固定中にはピアノがゆっくりとしか弾けず、かえって丁寧に練習ができたため、ギプスを外したら前より上達していたという曲が結構多い。
これは嬉しい驚きだった。

ヴァイオリンに関しても、コンサートのために練習中の「メサイア」は、問題なく弾けるようになった。
第2音でさっそくつまずいていた「G線上のアリア」は、やっと高音にも指が届くようになって全曲OKとなる。
やれやれ・・・
でも、オーケストラで弾く曲は、さらなる高音を押さえなくてはならない時があるので、こちらはまだ100%元に戻ったとは言えない。

料理については、大きなフライパンや重い鍋も持てるようになり、作業が楽になった。
まだおっかなびっくりで、注意して持つようにはしている。
骨折したのがもし利き手だったら、恐怖心なしに包丁を扱えるようになるまでには相当の時間がかかるのではと想像する。

そして、ギプスを外した時になぜか毛深くなっているのをみつけて驚いた手首周りも、元に戻ってほっとしている。
シェーバーで剃ったのが2回。あまりにも目立つ毛は毛抜きで抜いてしまったら、生えてこなくなった。

あのまま男性化が進んでいったらどうしようかと、ちょっと心配していた。。。
ブツブツした感じになり、数も増えたかのように見えていた毛穴もおとなしくなって、右腕と同じに戻った。
ああ、よかった・・・

きちんと固定しておけば、放置状態でもは勝手に再生し、元のようにくっついてしまう。
考えてみると、ものすごいミラクルだ!
虫歯になった部分も、そのように再生してくれればいいのに・・・

初めの頃、左手のが全然伸びなかったのも不思議。
今まで知らなかった人間の体の仕組みに、ひとつひとつ驚嘆してしまう。

そして、私たちの体はとても脆く、ちょっとしたことですぐに壊れてしまうことにも気付かされた。
これも、骨折という体験をしたおかげだ。
毎日、驚異的な働きをしてくれている体中の全ての細胞に、愛と感謝を送りたい。

2017年4月25日火曜日

OTR (作業療法士) によるリハビリ

ギプスが外れてからも、2週間は取り外しのできるスプリントを装着するように言われていたが、正直のところあまり使わずに終わってしまった。

一度自由の身を味わってしまうと、監視でもされない限り、自分からまた拘束具をつける気にはなれないものだ。

でもその2週間も無事に過ぎ、固定期間は晴れて終了♪

今日は、初めてOTR (Occupational Therapist Registered) によるリハビリを受けられるので結構ワクワク!
OTRは、日本語だと作業療法士を意味する。

アマゾンでゲットした、"Broken Wrist Survivor" と書かれたTシャツを着て行ったら、めちゃウケだった!


廊下を通りかかった他のスタッフまで、わざわざ部屋に呼び込んで見せていた。
いや~、予想以上に、皆さんにたくさん笑ってもらえてよかったよ。
写真を撮ってもいいかと聞かれたので、どうぞどうぞと・・・
何をしに行っているのだ、私?

それで肝心の手首はどうだったかと言うと、自主リハビリの効果抜群だったようで、よく動きよく曲がるので驚かれた。
上下、左右、回転時の手首の可動域を調べる。
分度器みたいので測っていたが、満足そうに頷くだけで数値は教えてくれなかった。
聞いておけばよかったな。

可動域に関しては、日本語では「掌屈」「背屈」「橈屈」「尺屈」「回内」「回外」と言うらしい。
それぞれ、手のひら側、手の甲側、親指側、小指側に手首がどの程度曲がるか、手のひらを下に向ける動き、上に向ける動きはどうか・・・ということだ。

今の時点では文句ない数値なのだろうが、右手に比べるとまだまだ曲がりにくい。

グーがちゃんと握れるか、指の曲がり具合はどうかを調べた後、握力を計った。
握力を計ったのなんて、いつが最後だろう。学生時代かも・・・

まずは、正常である右手から。
70ポンドと言われても全然ピンとこなかったが、これも結構いい値らしい。
換算すると約32キロで、確かに女性の割に馬鹿力があるようだ。
左手はちょうど半分の35ポンド。思ったよりは力が戻ってきてよかった!

親指と人差し指で洗濯ばさみみたいのをはさむ力は、右が18ポンド、左が14ポンドとのこと。
これは、左右でそれほど変わらなくなってきている。

それから、セラピーパティ Therapy Putty というものを渡される。
子供用のカラフルな粘土 Play Dough にそっくりだ。

それをぎゅっと握りつぶしては、また形を整え、さらに握るということを繰り返すのが、握力増強に良いそう。
乾いて固くなってしまうので、使わない時は付属の蓋つき容器に入れて保管するように言われた。
タオルの上などに置いてしまうと、くっついて取れなくなり悲惨なことになるそうだ。

Tシャツの上に来ていたフリース(夜は雪の予報で寒い日だった)の色に合わせて黄色をくれたの?と聞いたら、違った・・・
これがまたウケて、思い切り笑われる。
そんなに楽しがってくれると、こちらも嬉しくなってしまうじゃないの。

フリースの色に合わせたわけではなく、私の握力に合わせてこれを選んでくれたらしい。
確かに弾力がちょうど良くて、握っていると気持ちいい。
もっと握力が戻ってきたら、また別の色のをくださるそうだ。


マッサージをしてもらった後に、自宅でするトレーニング法をひと通り教わって一緒にやってみた。
1回3セットを、1日5、6回とのこと。
イスラム教徒が1日に5回礼拝するのを見習って、手首の神様にお祈りしながらすることにしよう。
メッカの方角は向かないけれどね。

今週日曜のコンサートに出る話にも驚いていた。帰り際にも、頑張って~!と応援してくれる。


そして、夜は「メサイア」コンサートのためのリハーサル。今日は初めてオーケストラ全体のリハだ。
今回は、プロによる録音もあるとのこと。緊張するな・・・

ここでも、着て行ったTシャツが皆さんに大ウケ!
いつものメンバー、いつもの場所。
皆さんに追いつくように自宅練習は大変だったが、ここに戻れて本当にほっとする♪

2017年4月22日土曜日

骨折8週目(54~56日目)


4月20日(木) シュークリーム

朝、とても久しぶりにシュークリームを作った。日本人の友人に会うので手土産だ。


「腫れてもいないし、全く普通に見えるわね」と驚かれる。
一緒におにぎりを作ったが、そんな作業も全く問題なくできるようになった。
ギプス装着中は、おにぎりの三角形を整えるのに、キッチンカウンターに押し当てるようにして握っていたっけ・・・
私が重いものを持たなくてすむよう、ご夫婦で色々と気をつかってくれて感謝。

夜は、夫の友人が家に来る。彼にもシュークリームをご馳走した。
みんなで病気と健康に関する話で盛り上がってしまうのは、年のせい?


4月21日(金) 秘密兵器が欲しい

ピアノは情熱的な曲が弾きたくなり、ブラームスの「ラプソディー2番」、ベートーヴェン「悲愴」の第1楽章、ラフマニノフの「前奏曲嬰ハ短調」を立て続けに弾いた。

ラフマニノフは身長も高く、巨大な手の持ち主だったそう。

広げると親指から小指まで27cmにもなり、ドからソの12音が届いたとか!あり得ない・・・!

自分の指が長すぎて丸めたほうが弾きやすかったので、音をたくさん使った和音が頻出する曲を好んで作ったらしい。
私のように小さな手に生まれついたものには、大迷惑な話だ。
音が厚すぎる和音は、やはり怪我をする前より弾きにくさを感じる。下の動画のような秘密兵器、マジで欲しい!!


バッハの「イタリア協奏曲」も弾いた。子供の頃はあまり好きではなかったバッハ、成長と共にどんどん魅かれるようになり、今では最も尊敬する作曲家だ。

今日の感想・・・先ほどのような重厚な和音、オクターブの速い連打、親指くぐり、音がかなり飛ぶ分散和音に、まだほんの少し違和感を覚えることがある。
時間が解決してくれるのだろうか。


4月22日(土) G線上のアリア

良い天気になったので、ウォーキングして夫とピクニック。
まだ雪解け水がたまってぐちゃぐちゃな所が多い。
泥ですべって転倒では氷の上よりさらに悲惨なので、注意して歩く。
サボって実はほとんど装着していないスプリントも、万が一の転倒に備えて今日はつけて行った。

ヴァイオリンは、高音がもっと楽に弾けるようになってきた。
「G線上のアリア」の2音目もついにクリア!小指がしっかり届くようになる♪



2017年4月20日木曜日

自主リハビリについて

4月11日、約6週間ぶりにギプスが外れて「準固定期間」(これは私が勝手に命名)に突入した。
自分で簡単に取り外しができるプラスチック製のスプリントを、2週間つけるようにと言われている。


セラピストによる本格的なリハビリの開始は、この準固定期間終了後とのこと。
一応骨はついたが、まだ完全に治っているわけではないので、不意の事故を防ぐためのスプリントなのだろう。
それまでは、「時々スプリントを外して、自分で関節を動かす努力をしてください」ということだ。

だからと言って、どこをどう動かせばよいのか具体的な指示があったわけではない。
痛みを感じない程度に・・・という、大変あいまいな言い方だった。

仕方がない、自主リハビリを勝手に開始してしまおう。
骨折したばかりの時、「手首骨折体験記」というサイトで発見した、下の動画を真似することにした。
スノーボードの事故によって骨折した若い方による、音声なしの大変シンプルな動画だ。

 Broken wrist recovery after taking off cast. Next day after taking off cast. 

この動画を見つけたのは、自分の指がまだほとんど動かせない頃だったので、本当にこんなことができるようになるのだろうかと信じられない思いで眺めていた。
でも、6週間経ったらこの通りにできた!

この方は1日5~6回のセットを1週間続けて行い、ギプスが外れて2ヶ月半後には逆立ち側転もできるようになったそうだ。
逆立ち?側転?・・・おばさんは、できなくても全然構わない。
まだ「準固定期間」なので、上の動画に合わせて1日2~3回程度にとどめる。

下の2つの動画も、なかなか良いと思う。
英語の説明がわからなくても、動きを真似すれば大丈夫。



骨折後どこまでの回復を目指すかは、ある程度自分自身でゴールを決めなくてはならない。
スポーツや手先を動かす仕事、その人がワクワクできることを目標にするのが一番だ。
私の場合、ひと通りの日常生活が普通に送れることだけでなく、「オーケストラ団員としての活動をなるべく早く再開すること」を最初のゴールにしていた。

それは、まだ数ヶ月先のことだと考えていた。
まさかギプスを外して1週間後に実現するとは、自分でもびっくり・・・

ギプス固定期間中から指は十分に動かし、ヨガやダンス、ウォーキングなどで全身運動も怠らなかったのも幸いしたと思うが、YouTube上のの動画もかなり役立った。
最初の音声なしの動画を紹介してくださっている「手首骨折体験記」のライターさんにも、大いに感謝しなくては。
4月3日の記事で紹介したセラピーボールなども、暇さえあれば握っている。

けれども、オーケストラ活動に早々戻れたのは、たまたまラッキーだったからとも言える。
今回は私の担当するヴァイオリンパートに「とんでもない高音」が出てこないため、4月30日のコンサートに出演できるというだけだ。

次の目標は、たとえ「とんでもない高音」が出てきたとしても、どんな曲でも弾けるようにすることだ。
手首がもっともっと内側に曲がるようにならないと、これは無理。
そこに到達するまでの道のりはまだ長く、準固定期間後にプロのセラピストの手を借りてこそやっと実現するのだろうと、謙虚に考えている。