2017年4月5日水曜日

骨折6週目 (36~39日目)


4月2日(日) ハイウェイを運転 / コンサート

今の時期、夫は毎年メープルシロップ作りに忙しい。
メープルの木から集めた大量の樹液を煮詰める作業が、昨日から始まった。
メープル林の中で火の番をしながら、友人たちと長時間飲んだりおしゃべりしたりするのが一番楽しいらしい。


昨日は夫が飲みすぎてしまい、友人が車で家まで送ってくれた。
夫の車を置いてきてしまったので、今日はもう1台の車でそれを一緒に取りに行く。

そんなわけで、帰りは骨折後初めて1人でハイウェイを運転する羽目になる。
しかもハイウェイに出るまでは曲がりくねった狭い道なので、ちょっと不安だった。
でも左手がしっかりしてきてちゃんとハンドルを握れるようになったので、別にどうということはなかった。
親指を使わずに、残りの4本でハンドルをぎゅっとはさんだほうが、安定して力が入るようだ。
ハイウェイに出てからは、まっすぐな所は片手運転でも大丈夫だった。

午後、自分が出演しないオーケストラコンサートを観客として聴きに行く。
楽器を持たずに家を出るのは、変な感じ。
正装して演奏する、ステージ上の仲間の姿がまぶしい。
ヴァイオリンの相棒が、またお見舞いカードを手渡してくれた。本当に優しい人だ。
曲を作り上げていく喜びを、みんなと一緒に味わいたかったな。

気分転換に、一緒に行った夫と義妹夫婦&友人夫婦と共に、コンサート終了後に食事。
楽しいおしゃべりで気が紛れる。賞を取ったことのある地ビールが美味い♪


4月3日(月) 買い出しの成果

昨日ハイウェイを運転して自信がついたので、怪我をしてから初めて25分位離れた町へ1人で買い出しに出かけた。
右折の時のハンドルさばき、注意しないと少し痛みを感じた他は、何も問題なかった。
日本だったら、シフトレバーが運転席の左側にあるので苦労したかも。
車のドアを開ける時は右手を使ったが、一度無意識に左手でしてしまったこともあった。意外と大丈夫だった。

カートに品物を入れたり、レジでそれを出したりという操作も、普段と同じようにできた。
怪我したばかりの頃、夫と一緒に買い物に行った時は、大きくて重いカートの方向が片手だとコントロールできなくてあせったっけ。

今では結構重量のあるものも、左手だけで持てるようになってきている。
レジ袋を左腕に通して頑丈なギプスの部分にかけてしまい、結構使えるじゃん!とほくそ笑む。

リハビリに良さそうなものも、色々買い込んできた。

このセラピーボールが一番欲しかったの♪
ぷにゅぷにゅの感触で、握っていると本当に気持ちいい。
全部硬さが違う。真ん中のピンクの卵型のが、特にお気に入り。


2ポンド(約900グラム)のダンベル
左は二の腕まで筋肉が落ちてぽよよ~んとしているので、少し鍛えなくちゃ!


これはどちらも犬用のおもちゃ。でも、ぎゅっと握るのによさそうじゃない?
左のはプラスチック製だが、中は空洞でほどよい弾力もある。
リハビリが終わったら、娘のワンコにプレゼントしよう。


これを使うのはまだずっと先かな。調整できるハンドグリップ。右手で楽に握れても、左手では全く動かない・・・


手首をサポートするバンドも買っておいた。ギプスをはずした後、何もつけないと頼りないかもしれないので。


しばらく運転できなくて「翼をもがれた小鳥ちゃん」の心境だったが、また飛べるようになった!
都会だったら運転しなくても色々な所に1人で行けるだろうが、アメリカのど田舎ではどうしようもない。

でももし事故った場合、ギプス固定中なのに運転していたことで罰金が高くなったりするのだろうか。
夫も、その辺については知らないそう。

日本だったら、骨折治療中に満員の通勤電車などに乗るのは大変なことだろう。
うっかり人にぶつかった場合、「痛い思いをさせられる」、「自分が相手に痛い思いをさせる」、両方の可能性がある。
ここではそういう心配をしなくてすむ点は、とてもありがたい。

食器を拭く時、フォーク類をまとめて何本か左手に握って拭く動作ができるようになった。
もっと早くからできていたのかもしれないが、1本ずつゆっくり拭くことに慣れてしまって、試そうとも思わなかった。
これでぐ~んとスピードアップ!本当に楽になる。

ただし、ギプスから少し出ている繊維の部分が、どんなに気をつけてもやはり薄汚れてきているので、料理する時や食器を拭く時は、そこにくっつくタイプのラップをかぶせて清潔を保っている。
 ⇒ 骨折5週目 (33日目~35日目) の記事を参考のこと。


4月4日(火) 有鈎骨ってどこよ?

約2週間遅れで病院から通知された、3月21日撮影のレントゲン写真についての所見(ネットの自分のアカウントにアクセスすると読める)には、おいおい大丈夫なのか!?と不安を感じさせることが色々書いてある。
骨幹に達する縦方向の割れ目も見られるとか、有鉤骨(ゆうこうこつ)も折れている可能性ははずせないとか、なんちゃらかんちゃら。

手の関節基部を形成する8つの小さな骨「手根骨」、日本語でも英語でも全く名称を知らなかった。

「フィットネスの勧め」というサイトより

医療裁判になった時のために、どんな小さな可能性も告知しておく習慣なのだろうからあまり気にするなと夫に言われ、少しほっとする。
とりあえず、ギプス固定中でもこんなに指が動くし痛みも感じないのだから、治ってきているのだと信じることにしよう。

中皿は楽々と、大皿はちょっときついけれど一応左手だけで持てるようになった。
フライパンも小さめのは何とか持てるが、これ以上大きいのは無理。
右手と同じように楽に持てるようになる日が、また来るのだろうか。


ピアノは、1時間続けて弾いても疲れなくなった。
シューベルトのアンプロンプチュの第2番と第4番も、久しぶりに弾いてみる。
右手が重労働の割に左手は働きが少ないので、結構楽だ。

ヴァイオリンも弾いたら、今日は初めからG線まで届いた!
小指が使えないので指使いを工夫する必要はあるけれど、スズキの第3巻の「ユーモレスク」やバッハの「ジーグ」なども何とか弾けた。
ビブラートも何となくつけられるようになり、だいぶサマになってきた。

左手の指はかなり自由に動いていると思うが、グー、パーは問題なくできても、チョキの形で指を立てようとすると、少しひきつる感じで痛む。


4月5日(水) 夫と「おててつないで」

左指の動きが正常になるにつれ、爪の伸び具合も戻り、久しぶりに右指と足並みが揃う。
爪切りを使うのも、本当に楽になった。

良い天気が続いているので、夫と一緒にウォーキング
雪解け水が流れるせせらぎの音を聞くために、倒木があちこちにころがる急な傾斜面を降りて行った。
夫がさりげなく手を差し伸べてくれる。手をつないで歩いたのは、いつ以来か・・・?

今日もヴァイオリンを弾く。昨日よりビブラートが自然にかけられるようになった。
ヘンデルのソナタ第4番を弾いてみたが、ギプスが楽器に当たってしまうので、E線はどう頑張ってもC♯までしか届かない。
それでも、すごい進歩!
怪我をしたばかりの頃は、あんなに細いヴァイオリンのネックをしっかりと握る力が戻ってくるのだろうかと、とても不安だったもの。

指板を押さえることに関しては、今は特に問題なさそうだ。
でもギプスを外すとどうなるのかは、まだわからない。
それに、ハイポジションを押さえるための手首の柔らかさが戻るまでには、一体どの位かかるのだろう。
重音もまだ怪しい。ギプスから出ている部分しか自由にならないので、本来より寝かせ気味の指で弾くしかないからだろう。

ピアノは自分でもびっくりするほど、今日は楽に弾けた。ヴァイオリンとの相乗効果で、急にどこかにスイッチが入ってしまったみたい!
「月光ソナタ」の第3楽章など、オクターブは届かなくても結構早く弾けるようになる。

左手が、本当に生きている手らしくなってきて嬉しい。
幸い手の周りはギプスの巻き方が割とゆるめで、前回よりずっと風通しが良いせいもあるのだろう。
濡らしたコットンをつっこんで、せっせと垢取りもしている。
でも、全く見えない腕の部分は、どんなにおぞましいことになっているのやら・・・