2017年2月27日月曜日

骨折翌日 病院へ

痛み止めの薬を定期的に飲んだので、夕べは意外とぐっすり眠れた。
つくづく鈍感力に優れた女だ。
腫れは昨日より引いたように見える。手首だけ大きく腫れていたのが、全体に平均的に広がったという印象。

トイレットペーパーを交換する時、ペーパーが床に落ちそうになったのをとっさに左手で受けようとしてひねってしまい、激痛が走る。
便座で下半身を露出したまま、あまりの痛さにしばらく動けなかった・・・

病院に電話をすると、ファミリードクターは数日後まで予約が取れないそう。
そんなに待っていられない。飛び込みで診てもらえる walk-in に行くことにした。
家から25分位の総合病院へ、夫が車で連れて行ってくれる。

月曜の朝なので結構混んでいた。
アシスタントのようなお兄さんに名前を呼ばれ、中に入る。
まだ2月だというのに、タトゥーに覆われた片腕を誇らしげに露出した兄ちゃんだ。
怪我をした経過、昨日と今日の様子、痛みの程度、何か薬を飲んでいるかなどを、細かく聞かれた。

この病院では、各部屋の壁にこのような絵が貼ってある。
動かさなければ4、うっかりひねったりすると10どころか12!と答えておいた。


またロビーで待つ間、薄いビニール手袋に細かい氷を入れて口をぎゅっと結んで閉じたものを渡してくれた。
なかなか気が利くね~タトゥー兄ちゃん!それを手首に当てると、気持ちがいいこと♪

再び名前を呼ばれると、背が高くてエキゾチックな顔立ちの、素敵な女医さんが診てくれた。
日本のことについても、色々と質問される。東京の人口とか食べ物のこととか・・・
こっちはそれどころじゃないのですけれど、一応笑顔で答える。

別室に案内されて3方向からレントゲン X-ray を撮ってもらった後、「やはり骨折でした」と気の毒そうな顔で報告される。

手首の一番大きな骨だとだけ説明。
骨の名前を言われても、どうせわからなかっただろうけれどね。
(手首の骨の名称なんて、日本語でも知らないよ。)

きれいに折れていて複雑骨折ではないので、4~6週間ギプスで固定すれば治るだろうとのこと。とりあえずほっとした。

それから、添え木のような仮のギプスを当ててくれた。
ドクターはスプリントと呼んでいた気がするけれど、日本ではギプスシーネ gipsschiene または単にシーネと呼ばれているようだ。

少し厚みがある長方形の柔らかいシートを、肘の下から手のひらまで当ててサイズを合わせて切り、水で濡らすとその形の通りにすぐに固くなる。

その上から包帯で固定。
床にこぼれた水を拭くのもドクターがやってくれて、ちょっとびっくり。
「またすべって転んだら大変ですものね」と笑っていた。

3日後に整形外科の専門医の診察を受けた後、本格的なギプスを装着してもらうことになる。
いかにも怪我人という様子で出てきたので、ロビーで待っていた夫が少しびびっていた。


幸いにも、夫は家事は何でもこなす人。心配せず、しばらく休めと言われる。
「日本食も、作り方を教えてくれれば作ってみるから」だって!
この際、さらなる家事のエキスパートに育てようかな。

家に帰ってから、右手だけでちょこっとピアノを弾いてみる。
50年以上の相方の左手が突然休業宣言してしまい、右手は困惑している様子。
暗譜している曲も、左手なしだと調子が狂って弾きにくい。

今日も痛み止めの薬を飲んだので、痛みには特に悩まされずにすんだ。
シャワーを浴びて髪も洗う。
水がかからないよう、左手にレジ袋をかぶせて大き目のゴムでとめた。
時間はかかるけれど、1人でもなんとかなる。

自分が骨折して初めて気づいたが、ギブスではなくギプスが正解だ。
今までずっと、疑いもせずにギブスと言っていた。
椎名林檎の歌のタイトルだって、堂々と「ギブス」だもの。

でもなるべく、「ブス」なんていう言葉は口にしないほうがいい。
Gips はドイツ語であって、英語では cast と言うので、ここでは関係ないけれど。
怪我のおかげで、またひとつ利口になった。

骨折などすると、嫌だな~困ったな~というネガティブな感情だけに浸ってしまうのが、普通の人の反応だろう。
でも、人がなかなか体験できない毎日がこれから待っているのだと思うと、未知の世界にほんの少しだけワクワクしている自分に気付く。
・・・変態か・・・?



2017年2月26日日曜日

骨折当日 我が家の二・ニ六事件!

大事件が起きた。
家の周りのいつものコースをウォーキング中のこと。
カロリーを消費しようと結構スピードを出して大股歩きをしていたら、突然転倒!
あっという間の出来事で、マンガみたいな転び方だった。
先週暖かかったため雪が解けて水たまりになっていた場所が、その後の寒さでコチコチに凍結。
その上にうっすらと雪が積もっていて、わからなかったのだ。

いや、転んだ瞬間に思い出した。雪が降る前、そこがどんなにツルツルだったかを・・・
ミネソタの雪道では「ペンギン歩き」が基本なのに、うっかり忘れていた。

左手首で全体重を支えてしまったようだ。他は何ともなかったが、左手が痛む。
きっと変な風にひねってしまったのだなと軽く考え、すぐに起き上がってウォーキングを続けた。
でも歩いているうちに、ずきずきと痛みがひどくなってきた。(+_+;)

手袋を取って確かめると、かなり腫れている感じ。痛みで指も動かせない。
左手が壊れてしまったという感じ。一体何が起こったのだろう。
これでは、3月末と4月初めに続けてあるコンサートには出られないかもしれないということが、まず頭によぎる。

次に、ブラを外す時どうしよう・・・と歩きながら考えた。
(そんなに大事なことなのか?後から考えると、何だか笑える。)
夫に手伝ってもらえば簡単だけど、できれば煩わせたくない。
歩いているうちに、良い方法を思いついた♪ ⇒ これについては、この記事の最後へ

本当はいつもの1時間半位のコースを歩くつもりだったが、さすがにこれはヤバい痛さだと気付き、途中で引き返す。
それでも、転んだ後に40分ぐらい歩いてしまった。

鈍感力に優れていると人からほめられる(笑)ことがあるが、こんな時は逆効果だ。
本当は、怪我した箇所を心臓より上の位置にキープするべきだったらしい。
右手で左手を支えるようして歩くと少し楽な気がしたのは、本能的な反応だったのかも。

後から人に聞いた話だが、もし指輪をはめていたらすぐに外さないと、抜けなくなってしまうことが多いそう。

家に戻って夫に見てもらうと、これは骨折かも・・・とのこと。
骨折なんて、あまりの痛さにその場にうずくまって身動きもできないというイメージだったので、まさか!と思う。

でも、確かに自分で想像した以上に、手首はとんでもない様子になっていた。
左手全体が変な風に曲がってしまって動かせず、指は開かないし、手首がぽっこり大きく腫れている。
こんな風に変形した自分の体は、妊娠中を除き、生まれて初めて目にした。


すぐに痛み止めのアイブプロフェン Ibuprofen を飲み、夫の指図により冷凍コーンをジップロックに入れてタオルで巻いたもので冷やす。(このやり方は、アメリカ式らしい)
コーンは2つに分け、交代でフリーザーに戻しながら使った。

砕いた氷やアイスパックなどでもよいのだろうが、冷凍コーンは患部全体を包み込むようにしっかり当たって気持ちがいいし、何度も使える。
これはおすすめ!
冷凍グリーンピースでも冷凍ミックスベジタブルでも、その時にあるもの何でもOKだ。
(でも、体温で温まってしまうので、後で食べようなんて思わないこと)

PCキーボードのタイピングは、片手でも何とか大丈夫だが時間がかかる。
シフトキーを押しながら(  )や&などをタイプする時、かなり面倒。
ミネソタ暮らしについてのエッセイ執筆のお仕事を、1年契約でいただいているのだが、今月末の締め切り分、午前中に仕上げておいて本当によかったこと!

それにしても、これではヴァイオリンピアノはしばらく無理そう(涙;)
・・・というか、時間が経てば元のように弾けるようになるのだろうかと心配になってくる。

遊びに来ていた料理上手の義弟が、夕食にフェザント(キジ)料理を作ってくれた。
でも、フォークで押さえてナイフで肉を切るという基本の動作が全くできず、夫に手伝ってもらう。

歯磨きは右手なので問題ないが、デンタルフロスが使えないので、あまり好きではない糸ようじを使う。

髪も結べないし、右手だけで顔を洗うのはひと苦労。これではまるでネコが顔を洗う時みたいだ。
トイレでも、慣れないのでじたばたしてしまう。

肥満気味のネコのキキをいつものように抱っこしようとしたら、まるで力が入らず、不安定さが気に入らなかったようで右手を引っかかれてしまった。
・・・泣きっ面にハチネコだ。

転んだ後に歩きながら必死で考えた、片手だけでブラを外す方法をさっそく実行。
右手で両方の肩ひもを外し、本体をおへその辺りまでずり下げ、半周回してフック部分を前に持ってくれば、片手でも楽に外せる。

左手指先でちょっと押さえるぐらいはできるので、着ける時はこの逆をやれば、右手だけでOKよ~ん♪
私って天才!?とにんまり。前開きなどの特別仕様のブラジャーを、わざわざ買わなくても大丈夫。

毎晩続けている寝る前のヨガは、左手に注意しながら普通にやってしまった。
突然の災難にあたふたしていた気持ちが、少し落ち着く。